きらきらとした思い出

遊園地には、どこか懐かしく、心の奥に静かな波紋を広げるような物語がある。

ある古い遊園地の観覧車に乗ると、夕暮れの薄闇が世界を包む時刻、ゴンドラの窓から一瞬だけ、遠い昔の街並みが揺らめくように見えるという。そこには、色褪せた看板や笑い合う人々の影が映り、まるで時間が溶け出したかのようだ。乗客は、忘れていたはずの子供の頃の記憶や、誰かと過ごした遠い夏の日を突然思い出し、胸に名状しがたい切なさが広がる。この遊園地の古い木造の構造や、軋む音が、過去と今を曖昧に結びつける。メリーゴーランドでは、夜の帳が下りる頃、どこからともなく流れる古い旋律が、乗る者の心をそっと揺さぶる。知らないはずのメロディなのに、なぜか幼い日に聞いた母の鼻歌や、遠い祭りの喧騒を思い出させる。回転する馬車の影が、まるで過去の自分を映し出す鏡のようで、誰もいないはずの隣の席に、誰かの気配を感じる瞬間があるという。写真を撮ると、時折、知らない時代の装いをまとった人影が背景に紛れ込む。古い制服を着た人物や、どこか懐かしい笑顔が、まるでその場に今もいるかのように写り、写真を見返すたびに、時間がそこだけ止まっているような錯覚に陥る。

広大な遊園地の観覧車では、満天の星の下、遠くに普段見えない光が瞬くことがある。それは、かつてその場所で笑った誰かの残響とも、子供の頃に信じた夢の欠片とも囁かれる。光を見つめた者は、理由もなく涙がこぼれそうになり、胸に去来する懐かしさに戸惑う。ある古い遊園地の片隅、かつて賑わったゲームコーナーでは、特定の夜にだけ、埃をかぶった古い機械が静かに息を吹き返す。誰も触れていないのに、画面が光り、昭和の電子音が響く。プレイすると、子供の頃の無垢な喜びが蘇り、ゲームを終えた瞬間、かすかな幸福感とともに、なぜか二度とその機械を見つけられないという。

確かな証拠もなく、ただ人々の記憶と遊園地の古びた空気の中で生き続ける。

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